俵屋宗達の世界

俵屋宗達

俵屋宗達は江戸時代の画家・絵師です。俵屋宗達は江戸時代を代表するといってもいいほどの大画家ですが、俵屋宗達の生涯を伝えている書物、史料はほとんど残されていません。そのため俵屋宗達は生没年すら正確にはわかっていないのです。一説には俵屋宗達が生まれたのは1643年という推測もされています。俵屋宗達は琳派の始祖とも言われています。

俵屋宗達は京都で「俵屋」という絵画工房を取り仕切り、扇絵の制作を中心に活動していたようです。ただし俵屋宗達は単純に扇絵職人だったわけではなく、当時の皇室から作画の依頼を受けることもあったようです。

さらに俵屋宗達には、一介の絵師としては異例の法橋という位を与えられていました。このことからも俵屋宗達は一流の絵師とみなされていたことがわかります。

また俵屋宗達は本阿弥光悦や烏丸光広などの書巻に下絵を施すなど、当時を代表する芸術 家と俵屋宗達の共作で作品を手がけていたことが確認されています。

俵屋宗達の作品は装飾的な大画面のものや水墨画があります。

俵屋宗達の特徴として挙げられるのが特異な構図と、俵屋宗達独自の技法とも言える「たらし込み」と呼ばれる生乾きの水墨にさらに濃淡の異なる墨を含ませて「にじみ」による偶然の効果を狙った独特の技法があります。

こうした俵屋宗達独自の作風が琳派を確立させ、尾形光琳など琳派絵師の先駆となったのです。

俵屋宗達の世界:俵屋宗達の代表作

風神雷神図

琳派を代表する絵師である俵屋宗達の代表作であるのは、国宝「風神雷神図屏風」。

金箔が一面に貼られた屏風。左側から力強く雷太鼓を打ち鳴らす雷神の姿、右側から黒雲に乗り風を操りながら舞い降りる風神の姿を描いた俵屋宗達の代表作です。

この俵屋宗達の「風神雷神図屏風」ですが、風神と雷神は墨と銀泥を用いたたらし込み技法により描かれており、黒雲は質量感に溢れ金箔による空間感覚をより一層強調しているといえるでしょう。

今日、風神雷神といえばこの俵屋宗達が描いた「風神雷神図屏風」を思い起こす人がほとんどでしょう。

対になる二柱の神を、白を基調にした雷神と緑を基調にした風神で描いた俵屋宗達の色彩感覚は並外れています。調和の取れた空間に俵屋宗達の感覚の鋭さを感じてしまいます。

俵屋宗達が描いた二柱の神の表情も、見るものに強い印象を与えます。

「風神雷神図屏風」を描いた俵屋宗達は後世の画家に強烈な影響を与えたと言えます。


俵屋宗達の世界:俵屋宗達の作品

俵屋宗達の作品を紹介します。


風塵雷神図屏風(建仁字・国宝)京都国立博物館に委託

松島図屏風(アメリカ・フリーア美術館・国宝)

蓮池水禽図(京都国立博物館・国宝)

源氏物語関屋及び澪標図(静香嘉堂文庫・国宝)

金銀泥鶴図下絵和歌巻(京都国立博物館・重要文化財)

養源院襖絵・杉戸絵(養源院・重要文化財)

舞楽図屏風(醍醐寺・重要文化財)

蘆雁図衝立(醍醐寺・重要文化財)

醍醐寺三宝院扇面貼交屏風(醍醐寺・重要文化財)

金銀泥四季草花図下絵和歌巻(畠山記念館・重要文化財)

蔦の細道図屏風(承天閣美術館・重要文化財)

牛図(頂妙寺・重要文化財)京都国立博物館に委託



上記が俵屋宗達の主な作品になります。

国宝に指定されている俵屋宗達の作品は4点。

重要文化財に指定されている俵屋宗達の作品は10点。